(49)石橋村(2009.2.10)


 
現小田原市の南部、早川から先の旧片浦村4か村が手付かずで残っていた。まずはここを踏破するつもりである。
 各村の中心集落はJR東海道線の線路からそんなに離れてはいない。とはいえ根府川以外には駅が置かれているわけでなし、それぞれを訪問するにはバスと徒歩を利用するしかない。ということで、小田原駅から真鶴駅行きバスに乗った。小田原から当地域に向かうバスは新道経由(真鶴駅行き)と旧道経由(石名坂行き)があり、米神までならどちらに乗っても大丈夫である。ただしどちらも本数は極めて少ないから、時刻を事前に調べておくことは絶対に必要だ。
 小田原駅を発車したバスは快調に市街を通り抜け、早川駅前へ。石橋までならここから歩けない距離でもないのだが、途中の道がちょっと歩行者に優しくなさそうなので、バス利用が無難だろう。で、石橋に到着。おー、
バス停からの眺めがいいぞ

 このあたり、道路(国道135号)は海岸すれすれを走っているから沿道からの相模湾の眺望は素晴らしいわけだ。石橋バス停のちょっと手前、国道と集落に入る旧道との分岐のところにちょっとした広場とベンチがあるのが見えたが引き返すのも面倒だし、ここで記念撮影することにしよう(実際に呑むときはちゃんと座れる場所のほうがいいのは当然だが)。


(50)米神村(2009.2.10)


 石橋から米神までは歩くことにする。とはいうものの次のバスの時間との兼ね合いもあり、あちこち立ち寄りながらぶらぶら歩くというわけには行かなかった。よって、途中の写真が全然なくてごめんなさい。
 この区間、国道を歩くのはほんのわずか、あとは車もほとんど通らない旧道歩きとなる。もっとも国道が海岸線に忠実に通っているのに対して旧道はかなり高度を上げ、途中東海道線の線路と並行する形をとる。ものすごくハードではないけれどダラダラ坂の登りである。体調が万全のときならどうということのない道なのだが、現在の私には若干しんどかったのも事実である。
 前方に家々の影が濃くなってきた。米神の集落である。本来ならこの中を探検したいところなのだがバスの時間が迫っている。集落の入口あたりで急な坂を下り、国道に設けられた地下道を潜って向こう側に出れば、そこが米神バス停であった。



 バス停前から集落の方向を見上げると、こんな眺めとなる。

 斜面の上を東海道線の電車が走っている。たしかに列車の車窓からよく注意して見るとバス停を望むことができるね。
 石橋バス停にベンチはなかったが、こちら米神停留所(根府川方向)は屋根・ベンチ付き。バスが来る時間帯は極めて限定されているから、それを外せばここで一献というのも可能だね。ということで、とにかく海が見えるように魔法壜をセットしてパチリ。

 撮影を終えてほどなく、石名坂行きバスがやって来た。ちょっと不完全燃焼気味ではあるが、次の目的地・根府川に向かいます。

(51)根府川村(2009.2.10)


 根府川の駅前に立つ。たしか15年くらい前に石橋〜米神〜根府川と歩いて電車で帰ってきたことがあったが、それ以来だ。
 あの頃の駅前は寂れたものだった。いや、今も駅前風情はそんなに変わっていないと思うのだが、乗降客の数だけは相当増えているのではないか。その理由、頭上に聳える天空の城・ヒルトン小田原の存在である。1時間に2〜3便、根府川駅とホテルを結ぶシャトルバスが運行されており、駅前はバス待ちの有閑マダム(“ヒルトン族”とでも呼ぶべきか)による喧騒に包まれているという次第である。まあ、私には無縁の世界ではあります。生きてるうちに一度くらいは行ってみたいと思ってるんですけどね。
 さて、結論を先に申し上げます。根府川での一献ポイント、駅待合室ということにしておきます。だってほかに腰を下ろすのに好適な場所がないんだもの。幸い当駅は東海道線(本線)唯一の終日無人駅、駅舎のベンチは木製の作りつけで快適だし、上り線ホームにも屋根付き待合室あり。ヒルトン族が喧しいとはいっても周辺の駅に比べれば静かなもの、せいぜい線路に転落しないよう気をつけて一献を愉しみたい。

 駅車内待合室の貼り紙。STB禁止。

 改札内のベンチから。向こうに見えているのがヒルトンのシャトルバス。

 ここからは、観光案内です。一献スポットを求めて歩き回った苦闘と敗北の産物ともいえますが。

 駅近くの寺山神社境内に鎮座する道祖神(市指定重要文化財)。ちょっと珍しいタイプだ。

 うしろの石塔の三猿が素朴でかわいい。

 根府川関所跡。急坂をくだったところにある。とくに何もなし。ベンチがあるといいのに。

 もっと急坂をくだったところにある釈迦堂。外から見る分にはどうということのないお堂だが地下への石段を降り洞の中のお釈迦さまと向き合うと、恍然たる心持ちにさせられる。一応お堂を入ったところに簡素なテーブルと長椅子が置かれているので物理的に一献できないわけではないが、心理的にはそんな罰当たりなことできません。
 なお、お堂の頭上に見えている赤いのが東海道線の白糸川橋梁(根府川鉄橋)。昔は当鉄橋で強風を観測するとすぐ列車が抑止になったものだが防風柵が付けられてからはめっきり遅れが減りました。鉄ヲタさん的には不評のようですが、毎日利用する者にとっては有難い話であります。




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